「叱らない」のではなく「叱れない」

20年以上も続いた小中学生の「ゆとり教育」ほどではありませんが、幼児期の「叱らない子育て」傾向も長くなりました。ただ私は「叱らない」のではなく「叱れない」のが実像だと思っていいます。


近年若者を中心に「結果の見えないものに手を出さない傾向」がありますが、「叱った後の子供の反応やその後の影響」も読めない事例だと思います。


叱ることが確実に良き結果に結びつくという保障でも無い限り、「叱れない…」という心理になるのでしょう。


しかも、どうやら既に親自身が叱られた経験の少ない世代のようです。親と遊んだ経験の少ない人が「どうやって子供と遊んでよいのかわからない…」と思うのと同様に「叱るタイミング」や「叱り方」について思い悩むのも無理のないことなのでしょう、結果の見えない事に対して手控える世代ならではの事だと思うのです。


私や少し上の「戦後の子供達」の親達は戦争体験を持つ者が多く、彼らは幼少期に厳しい育てられ方をしています。彼らはそれを薄めたような程良い厳しさで私達に接してくれたように思います。


「戦後の子供達」の子女が現代の親なわけですから、程良い厳しさがより薄まり「叱る事ができない親」が生まれる時代になったのでしょう。そこに「褒めて育てる」とか「自己肯定感」というスパイスが加わったのが現代の子育ての特徴です。


幼児教室の指導者は、その時代の親達と向き合い導くのが仕事です。上の世代の教師ならば、自分の時代とは異なる幼少期の育ちを持つ親が相手であり価値観も違います。その世代の声を丹念に聞き、考えや思いを確認しなくてはなりません。


どのような育てられ方をされてきたのか?自分たちの子育てに生かしたい事、避けたい事、両親それぞれの特有の思いもあります。


その上で、我が子にどのような育ちをさせたいのか、どのような人的環境を与えたいのか?私達はじっくりと話を聞き、「その家らしい親のあり方や子供との向き合い方etc.」を描きます。当然ですが「叱り方」「褒め方」もご家庭によって「らしさ」があり個性があってよいのです。


時には感情的になって叱る親の姿も子供にとっては必要な学びです。子育ては影響を考えすぎたり、心配し過ぎたりでは先に進めません。


世の親たちが思い切った子育てをされることを心から願っています。



   

 

        麹町慶進会  塾長 島村 美輝         
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